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author | anatofuz <anatofuz@cr.ie.u-ryukyu.ac.jp> |
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date | Fri, 19 Apr 2019 18:24:04 +0900 |
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--- a/slide.html Fri Apr 19 15:52:38 2019 +0900 +++ b/slide.html Fri Apr 19 18:24:04 2019 +0900 @@ -105,13 +105,37 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="内容">内容</h2> +<ul> + <li>Perl6とは?</li> + <li>スクリプト言語処理系の動き</li> + <li>Perl6の内部構造 + <ul> + <li>NQP</li> + <li>MoarVM</li> + </ul> + </li> + <li>MoarVMのバイトコード実行</li> + <li>まとめ</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6とは">Perl6とは</h2> <ul> - <li>当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語</li> + <li>当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語 + <ul> + <li>現在は別の言語として開発がそれぞれ進んでいる</li> + </ul> + </li> <li>仕様と実装が分離しており, 現在はテストが仕様となっている</li> - <li>実装は複数存在しているが,現在主流な実装はRakudoとなっている</li> - <li>言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語となっている</li> - <li>MoarVM, JVMで動作する</li> + <li>実装は歴史上複数存在しているが,主流な実装はRakudo</li> + <li>言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語</li> + <li>動作環境は、独自のVMのMoarVM, JVM、一部JavaScript上で動作する</li> </ul> <p><img src="2000px-Camelia.svg.png" alt="" style="width: 31%; height: auto;" /></p> @@ -122,10 +146,68 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="現在のperl6">現在のPerl6</h2> + +<ul> + <li>現在のバージョンは <code>6.d</code></li> + <li><a href="https://perl6.github.io/6pad/">ブラウザ上で実行可能な環境</a>が存在する</li> + <li><a href="https://commaide.com/">IDE</a>が開発されている</li> + <li>WebApplicationFrameworkなども開発されており、 Perl5のモジュールを移行したものがいくつか存在する</li> + <li>日本では趣味のプロダクト以外社会では使用されていない + <ul> + <li>海外では実際に使われているケースも存在する</li> + </ul> + </li> + <li>処理速度では一部Perl5に勝っているが、それでも大分遅い</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="参考perl5のソースコード">[参考]Perl5のソースコード</h2> + +<ul> + <li>Perl5時代 + <ul> + <li>スカラ、配列、ハッシュの3種類</li> + <li>それぞれの変数への参照であるリファレンスが使用可能</li> + </ul> + </li> +</ul> + +<pre><code class="language-perl">use ustrict; +use warnings; + +my $scalar_value = "hello!"; +print "$scalar_value\n"; + +my @array = (1..10); +print "$array[0]\n"; + +my %hash = ( this_is_key => "this_is_value"); +print "$hash{this_is_key}\n"; + +my $hash_ref = \%hash; +print "$hash_ref->{this_is_key}\n"; +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6のソースコード概要">Perl6のソースコード概要</h2> <ul> - <li>Perl5の文法とは比較的変更が多い</li> + <li>Perl5の文法とは比較的変更が多い + <ul> + <li>雰囲気は似ている</li> + </ul> + </li> <li>変数がオブジェクトと化した事により, 変数からsayメソッドを呼ぶことが可能</li> </ul> @@ -194,6 +276,28 @@ fizzbuzz($_).say for 1..15; </code></pre> +<ul> + <li>型を利用したFizzBuzz</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="スクリプト言語">スクリプト言語</h2> +<ul> + <li>Perl6は現状コンパイルすることはできない + <ul> + <li>スクリプト言語の分類</li> + </ul> + </li> + <li>現在広く使われているスクリプト言語(Perl,Python,Ruby…)などとPerl6の構成は類似している</li> + <li>今回はPerl6の実装を追いながら、最近のスクリプト言語処理系の大まかな実装を理解する</li> +</ul> + + </div> @@ -218,10 +322,43 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="perl6以外のスクリプト言語">Perl6以外のスクリプト言語</h2> + +<ul> + <li>現在使われているプロセスVMは言語に組み込まれているものが多い</li> + <li>JVMやElixirなどのVMは複数の言語で使用されている</li> + <li>Java + <ul> + <li>JVM</li> + </ul> + </li> + <li>Ruby + <ul> + <li>YARV</li> + </ul> + </li> + <li>Python + <ul> + <li>PythonVM</li> + </ul> + </li> + <li>Elixir + <ul> + <li>BEAM</li> + </ul> + </li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6の処理系の構成">Perl6の処理系の構成</h2> <ul> - <li>Perl6の処理系は現在はRakudoと呼ばれる(歴史上複数存在する)</li> + <li>Perl6の処理系で現在主流なものはRakudoと呼ばれる実装である(歴史上複数存在する)</li> <li>Rakudoは3つのレイヤーから構成されている <ul> <li>Perl6インタプリタ</li> @@ -229,8 +366,7 @@ <li>Perl6のバイトコードを解釈するMoarVM</li> </ul> </li> - <li>このうちPerl6インタプリタとNQPはNQP自身で記述されている</li> - <li>MoarVMはC言語で記述されている</li> + <li>Perl6/NQPがフロントエンドに相当し、MoarVMがバックエンドに相当する</li> </ul> @@ -239,12 +375,52 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="rakudoの構成図">Rakudoの構成図</h2> + +<p><img src="fig/Rakudo_System_overview.png" alt="" /></p> + +<p>(http://brrt-to-the-future.blogspot.com/2015/03/advancing-jit-compiler.html)</p> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6とnqp">Perl6とNQP</h2> <ul> - <li>NQP(NotQuitPerl Perlっぽい別の言語)でRakudoを記述している</li> + <li>NQP(NotQuitPerl Perl) + <ul> + <li>Perl6のサブセット。Perl6っぽい言語</li> + </ul> + </li> + <li>Perl6、 NQP自体がNQPで記述されている</li> <li>NQPもNQPで記述されている為、 セルフビルド(自分自身で自分自身をコンパイルする)を行う</li> <li>NQPはPerl6の文法をベースにしているが、 制約がいくつか存在する</li> + <li>元々はPerl6の主力実装がParrotだった時代に登場 + <ul> + <li>文法がアップデートされており、当時の資料は古くなっている</li> + </ul> + </li> +</ul> + +<pre><code>my $value := "hello!"; +say($value); +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpスクリプト">NQPスクリプト</h2> + +<ul> + <li>変数は束縛 <code>:=</code> を使う</li> + <li>関数の間に空白を入れてはいけない</li> + <li>再帰呼び出しを使うフィボナッチ数列</li> </ul> <pre><code>#! nqp @@ -254,12 +430,9 @@ my $N := 29; -my $t0 := nqp::time_n(); my $z := fib($N); -my $t1 := nqp::time_n(); nqp::say("fib($N) = " ~ fib($N)); -nqp::say("time = " ~ ($t1-$t0)); </code></pre> @@ -268,37 +441,45 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> -<h2 id="プログラミング言語とvm">プログラミング言語とVM</h2> +<h2 id="nqpスクリプトnまでの整数の和">NQPスクリプト(nまでの整数の和)</h2> + +<pre><code class="language-perl6">sub add_test($n){ + mu $sum := 0; + while ( $n > 1) { + $sum := $sum + $n; + --$n; + } + return $sum; +} + +say(add_test(10000)); +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpとオペコード">NQPとオペコード</h2> + <ul> - <li>最近のスクリプト言語は、 ソースコードを直接解釈せず、バイトコードに変換しVMが評価する - <ul> - <li>全体的な処理速度の向上の為</li> - <li>実装を分離することでの見通しの良さ</li> - </ul> - </li> - <li>言語処理系の実行にのみ動作するVM(プロセスVM)</li> - <li>他言語の環境 + <li>NQPはPerl6の中で一番レイヤーが低い言語</li> + <li>その為、 実行するVMのオペコード(処理単位)を使用することができる</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpとmoarvm">NQPとMoarVM</h2> +<ul> + <li>NQPそのものは実行することはできない</li> + <li>NQPの実行にはMoarVM/JVMが必要となる <ul> - <li>Java - <ul> - <li>JVM</li> - </ul> - </li> - <li>Ruby - <ul> - <li>YARV</li> - </ul> - </li> - <li>Python - <ul> - <li>PythonVM</li> - </ul> - </li> - <li>Elixir - <ul> - <li>BEAM</li> - </ul> - </li> + <li>NQPコンパイラが各VMに対応したバイトコードに変換する</li> </ul> </li> </ul> @@ -309,13 +490,29 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> -<h2 id="perl6のvmの構成">Perl6のVMの構成</h2> +<h2 id="perl6のvm">Perl6のVM</h2> <ul> - <li>MoarVMと呼ばれるVM</li> - <li>C言語で記述されている</li> + <li>MoarVM, JVM , JavaScriptが選択可能 + <ul> + <li>メインで開発されているのはMoarVMであり、 他のVMは機能が実装されていないものが存在する</li> + </ul> + </li> + <li><code>rakudo-star</code> というPerl6のパッケージ環境では、 MoarVMがデフォルトでインストールされる</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="moarvm">MoarVM</h2> +<ul> + <li>C言語で記述されているPerl6専用の仮想機械</li> <li>レジスタマシン <ul> <li>型情報を持つレジスタに対しての演算として処理される</li> + <li>Rubyなどはスタックマシンとして実装されている</li> </ul> </li> <li>LuaJITなどを利用したJITコンパイルなども可能</li>
--- a/slide.md Fri Apr 19 15:52:38 2019 +0900 +++ b/slide.md Fri Apr 19 18:24:04 2019 +0900 @@ -9,18 +9,62 @@ - Rakudoの内部で利用されているVMや, Perl6のサブセットなどについて探索します - スクリプト言語で主に使われているバイトコードインタプリタの気持ちになります +## 内容 +- Perl6とは? +- スクリプト言語処理系の動き +- Perl6の内部構造 + - NQP + - MoarVM +- MoarVMのバイトコード実行 +- まとめ + ## Perl6とは - 当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語 + - 現在は別の言語として開発がそれぞれ進んでいる - 仕様と実装が分離しており, 現在はテストが仕様となっている -- 実装は複数存在しているが,現在主流な実装はRakudoとなっている -- 言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語となっている -- MoarVM, JVMで動作する +- 実装は歴史上複数存在しているが,主流な実装はRakudo +- 言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語 +- 動作環境は、独自のVMのMoarVM, JVM、一部JavaScript上で動作する <img src="2000px-Camelia.svg.png" alt="" style="width: 31%; height: auto;"> +## 現在のPerl6 + +- 現在のバージョンは `6.d` +- [ブラウザ上で実行可能な環境](https://perl6.github.io/6pad/)が存在する +- [IDE](https://commaide.com/)が開発されている +- WebApplicationFrameworkなども開発されており、 Perl5のモジュールを移行したものがいくつか存在する +- 日本では趣味のプロダクト以外社会では使用されていない + - 海外では実際に使われているケースも存在する +- 処理速度では一部Perl5に勝っているが、それでも大分遅い + +## [参考]Perl5のソースコード + +- Perl5時代 + − スカラ、配列、ハッシュの3種類 + - それぞれの変数への参照であるリファレンスが使用可能 + +```perl +use ustrict; +use warnings; + +my $scalar_value = "hello!"; +print "$scalar_value\n"; + +my @array = (1..10); +print "$array[0]\n"; + +my %hash = ( this_is_key => "this_is_value"); +print "$hash{this_is_key}\n"; + +my $hash_ref = \%hash; +print "$hash_ref->{this_is_key}\n"; +``` + ## Perl6のソースコード概要 - Perl5の文法とは比較的変更が多い + - 雰囲気は似ている - 変数がオブジェクトと化した事により, 変数からsayメソッドを呼ぶことが可能 ``` @@ -74,6 +118,16 @@ fizzbuzz($_).say for 1..15; ``` + +- 型を利用したFizzBuzz + +## スクリプト言語 +- Perl6は現状コンパイルすることはできない + - スクリプト言語の分類 + +- 現在広く使われているスクリプト言語(Perl,Python,Ruby...)などとPerl6の構成は類似している +- 今回はPerl6の実装を追いながら、最近のスクリプト言語処理系の大まかな実装を理解する + ## スクリプト言語処理系 - スクリプト言語は入力として与えられたソースコードを、 直接評価せずにバイトコードにコンパイルする形式が主流となっている - その為スクリプト言語の実装は大きく2つで構成されている @@ -82,24 +136,55 @@ <img src="fig/bytecode_sample_generally_lang.svg" width="80%"> + +## Perl6以外のスクリプト言語 + +- 現在使われているプロセスVMは言語に組み込まれているものが多い +- JVMやElixirなどのVMは複数の言語で使用されている +- Java + - JVM +- Ruby + - YARV +- Python + - PythonVM +- Elixir + - BEAM + ## Perl6の処理系の構成 -- Perl6の処理系は現在はRakudoと呼ばれる(歴史上複数存在する) +- Perl6の処理系で現在主流なものはRakudoと呼ばれる実装である(歴史上複数存在する) - Rakudoは3つのレイヤーから構成されている - Perl6インタプリタ - Perl6インタプリタを記述するPerl6のサブセットNQP - Perl6のバイトコードを解釈するMoarVM -- このうちPerl6インタプリタとNQPはNQP自身で記述されている -- MoarVMはC言語で記述されている +- Perl6/NQPがフロントエンドに相当し、MoarVMがバックエンドに相当する + +## Rakudoの構成図 +![](fig/Rakudo_System_overview.png) - +(http://brrt-to-the-future.blogspot.com/2015/03/advancing-jit-compiler.html) ## Perl6とNQP -- NQP(NotQuitPerl Perlっぽい別の言語)でRakudoを記述している +- NQP(NotQuitPerl Perl) + - Perl6のサブセット。Perl6っぽい言語 +- Perl6、 NQP自体がNQPで記述されている - NQPもNQPで記述されている為、 セルフビルド(自分自身で自分自身をコンパイルする)を行う - NQPはPerl6の文法をベースにしているが、 制約がいくつか存在する +- 元々はPerl6の主力実装がParrotだった時代に登場 + - 文法がアップデートされており、当時の資料は古くなっている + +``` +my $value := "hello!"; +say($value); +``` + +## NQPスクリプト + +- 変数は束縛 `:=` を使う +− 関数の間に空白を入れてはいけない +- 再帰呼び出しを使うフィボナッチ数列 ``` #! nqp @@ -109,34 +194,47 @@ my $N := 29; -my $t0 := nqp::time_n(); my $z := fib($N); -my $t1 := nqp::time_n(); nqp::say("fib($N) = " ~ fib($N)); -nqp::say("time = " ~ ($t1-$t0)); +``` + +## NQPスクリプト(nまでの整数の和) + +```perl6 +sub add_test($n){ + mu $sum := 0; + while ( $n > 1) { + $sum := $sum + $n; + --$n; + } + return $sum; +} + +say(add_test(10000)); ``` -## プログラミング言語とVM -- 最近のスクリプト言語は、 ソースコードを直接解釈せず、バイトコードに変換しVMが評価する - - 全体的な処理速度の向上の為 - - 実装を分離することでの見通しの良さ -- 言語処理系の実行にのみ動作するVM(プロセスVM) -- 他言語の環境 - - Java - - JVM - - Ruby - - YARV - - Python - - PythonVM - - Elixir - - BEAM +## NQPとオペコード + +- NQPはPerl6の中で一番レイヤーが低い言語 +- その為、 実行するVMのオペコード(処理単位)を使用することができる + -## Perl6のVMの構成 -- MoarVMと呼ばれるVM -- C言語で記述されている +## NQPとMoarVM +- NQPそのものは実行することはできない +- NQPの実行にはMoarVM/JVMが必要となる + - NQPコンパイラが各VMに対応したバイトコードに変換する + +## Perl6のVM +- MoarVM, JVM , JavaScriptが選択可能 + - メインで開発されているのはMoarVMであり、 他のVMは機能が実装されていないものが存在する +- `rakudo-star` というPerl6のパッケージ環境では、 MoarVMがデフォルトでインストールされる + +## MoarVM +- C言語で記述されているPerl6専用の仮想機械 - レジスタマシン - 型情報を持つレジスタに対しての演算として処理される + - Rubyなどはスタックマシンとして実装されている - LuaJITなどを利用したJITコンパイルなども可能 - Perl6やNQPは、MoarVMに対してライブラリなどを設定して起動する
--- a/slide.pdf.html Fri Apr 19 15:52:38 2019 +0900 +++ b/slide.pdf.html Fri Apr 19 18:24:04 2019 +0900 @@ -89,13 +89,37 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="内容">内容</h2> +<ul> + <li>Perl6とは?</li> + <li>スクリプト言語処理系の動き</li> + <li>Perl6の内部構造 + <ul> + <li>NQP</li> + <li>MoarVM</li> + </ul> + </li> + <li>MoarVMのバイトコード実行</li> + <li>まとめ</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6とは">Perl6とは</h2> <ul> - <li>当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語</li> + <li>当初Perl5の時期バージョンとして開発されていたプログラミング言語 + <ul> + <li>現在は別の言語として開発がそれぞれ進んでいる</li> + </ul> + </li> <li>仕様と実装が分離しており, 現在はテストが仕様となっている</li> - <li>実装は複数存在しているが,現在主流な実装はRakudoとなっている</li> - <li>言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語となっている</li> - <li>MoarVM, JVMで動作する</li> + <li>実装は歴史上複数存在しているが,主流な実装はRakudo</li> + <li>言語的にはスクリプト言語であり, 漸進的型付き言語</li> + <li>動作環境は、独自のVMのMoarVM, JVM、一部JavaScript上で動作する</li> </ul> <p><img src="2000px-Camelia.svg.png" alt="" style="width: 31%; height: auto;" /></p> @@ -106,10 +130,68 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="現在のperl6">現在のPerl6</h2> + +<ul> + <li>現在のバージョンは <code>6.d</code></li> + <li><a href="https://perl6.github.io/6pad/">ブラウザ上で実行可能な環境</a>が存在する</li> + <li><a href="https://commaide.com/">IDE</a>が開発されている</li> + <li>WebApplicationFrameworkなども開発されており、 Perl5のモジュールを移行したものがいくつか存在する</li> + <li>日本では趣味のプロダクト以外社会では使用されていない + <ul> + <li>海外では実際に使われているケースも存在する</li> + </ul> + </li> + <li>処理速度では一部Perl5に勝っているが、それでも大分遅い</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="参考perl5のソースコード">[参考]Perl5のソースコード</h2> + +<ul> + <li>Perl5時代 + <ul> + <li>スカラ、配列、ハッシュの3種類</li> + <li>それぞれの変数への参照であるリファレンスが使用可能</li> + </ul> + </li> +</ul> + +<pre><code class="language-perl">use ustrict; +use warnings; + +my $scalar_value = "hello!"; +print "$scalar_value\n"; + +my @array = (1..10); +print "$array[0]\n"; + +my %hash = ( this_is_key => "this_is_value"); +print "$hash{this_is_key}\n"; + +my $hash_ref = \%hash; +print "$hash_ref->{this_is_key}\n"; +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6のソースコード概要">Perl6のソースコード概要</h2> <ul> - <li>Perl5の文法とは比較的変更が多い</li> + <li>Perl5の文法とは比較的変更が多い + <ul> + <li>雰囲気は似ている</li> + </ul> + </li> <li>変数がオブジェクトと化した事により, 変数からsayメソッドを呼ぶことが可能</li> </ul> @@ -178,6 +260,28 @@ fizzbuzz($_).say for 1..15; </code></pre> +<ul> + <li>型を利用したFizzBuzz</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="スクリプト言語">スクリプト言語</h2> +<ul> + <li>Perl6は現状コンパイルすることはできない + <ul> + <li>スクリプト言語の分類</li> + </ul> + </li> + <li>現在広く使われているスクリプト言語(Perl,Python,Ruby…)などとPerl6の構成は類似している</li> + <li>今回はPerl6の実装を追いながら、最近のスクリプト言語処理系の大まかな実装を理解する</li> +</ul> + + </div> @@ -202,10 +306,43 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="perl6以外のスクリプト言語">Perl6以外のスクリプト言語</h2> + +<ul> + <li>現在使われているプロセスVMは言語に組み込まれているものが多い</li> + <li>JVMやElixirなどのVMは複数の言語で使用されている</li> + <li>Java + <ul> + <li>JVM</li> + </ul> + </li> + <li>Ruby + <ul> + <li>YARV</li> + </ul> + </li> + <li>Python + <ul> + <li>PythonVM</li> + </ul> + </li> + <li>Elixir + <ul> + <li>BEAM</li> + </ul> + </li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6の処理系の構成">Perl6の処理系の構成</h2> <ul> - <li>Perl6の処理系は現在はRakudoと呼ばれる(歴史上複数存在する)</li> + <li>Perl6の処理系で現在主流なものはRakudoと呼ばれる実装である(歴史上複数存在する)</li> <li>Rakudoは3つのレイヤーから構成されている <ul> <li>Perl6インタプリタ</li> @@ -213,8 +350,7 @@ <li>Perl6のバイトコードを解釈するMoarVM</li> </ul> </li> - <li>このうちPerl6インタプリタとNQPはNQP自身で記述されている</li> - <li>MoarVMはC言語で記述されている</li> + <li>Perl6/NQPがフロントエンドに相当し、MoarVMがバックエンドに相当する</li> </ul> @@ -223,12 +359,52 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="rakudoの構成図">Rakudoの構成図</h2> + +<p><img src="fig/Rakudo_System_overview.png" alt="" /></p> + +<p>(http://brrt-to-the-future.blogspot.com/2015/03/advancing-jit-compiler.html)</p> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> <h2 id="perl6とnqp">Perl6とNQP</h2> <ul> - <li>NQP(NotQuitPerl Perlっぽい別の言語)でRakudoを記述している</li> + <li>NQP(NotQuitPerl Perl) + <ul> + <li>Perl6のサブセット。Perl6っぽい言語</li> + </ul> + </li> + <li>Perl6、 NQP自体がNQPで記述されている</li> <li>NQPもNQPで記述されている為、 セルフビルド(自分自身で自分自身をコンパイルする)を行う</li> <li>NQPはPerl6の文法をベースにしているが、 制約がいくつか存在する</li> + <li>元々はPerl6の主力実装がParrotだった時代に登場 + <ul> + <li>文法がアップデートされており、当時の資料は古くなっている</li> + </ul> + </li> +</ul> + +<pre><code>my $value := "hello!"; +say($value); +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpスクリプト">NQPスクリプト</h2> + +<ul> + <li>変数は束縛 <code>:=</code> を使う</li> + <li>関数の間に空白を入れてはいけない</li> + <li>再帰呼び出しを使うフィボナッチ数列</li> </ul> <pre><code>#! nqp @@ -238,12 +414,9 @@ my $N := 29; -my $t0 := nqp::time_n(); my $z := fib($N); -my $t1 := nqp::time_n(); nqp::say("fib($N) = " ~ fib($N)); -nqp::say("time = " ~ ($t1-$t0)); </code></pre> @@ -252,37 +425,45 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> -<h2 id="プログラミング言語とvm">プログラミング言語とVM</h2> +<h2 id="nqpスクリプトnまでの整数の和">NQPスクリプト(nまでの整数の和)</h2> + +<pre><code class="language-perl6">sub add_test($n){ + mu $sum := 0; + while ( $n > 1) { + $sum := $sum + $n; + --$n; + } + return $sum; +} + +say(add_test(10000)); +</code></pre> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpとオペコード">NQPとオペコード</h2> + <ul> - <li>最近のスクリプト言語は、 ソースコードを直接解釈せず、バイトコードに変換しVMが評価する - <ul> - <li>全体的な処理速度の向上の為</li> - <li>実装を分離することでの見通しの良さ</li> - </ul> - </li> - <li>言語処理系の実行にのみ動作するVM(プロセスVM)</li> - <li>他言語の環境 + <li>NQPはPerl6の中で一番レイヤーが低い言語</li> + <li>その為、 実行するVMのオペコード(処理単位)を使用することができる</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="nqpとmoarvm">NQPとMoarVM</h2> +<ul> + <li>NQPそのものは実行することはできない</li> + <li>NQPの実行にはMoarVM/JVMが必要となる <ul> - <li>Java - <ul> - <li>JVM</li> - </ul> - </li> - <li>Ruby - <ul> - <li>YARV</li> - </ul> - </li> - <li>Python - <ul> - <li>PythonVM</li> - </ul> - </li> - <li>Elixir - <ul> - <li>BEAM</li> - </ul> - </li> + <li>NQPコンパイラが各VMに対応したバイトコードに変換する</li> </ul> </li> </ul> @@ -293,13 +474,29 @@ <div class='slide'> <!-- _S9SLIDE_ --> -<h2 id="perl6のvmの構成">Perl6のVMの構成</h2> +<h2 id="perl6のvm">Perl6のVM</h2> <ul> - <li>MoarVMと呼ばれるVM</li> - <li>C言語で記述されている</li> + <li>MoarVM, JVM , JavaScriptが選択可能 + <ul> + <li>メインで開発されているのはMoarVMであり、 他のVMは機能が実装されていないものが存在する</li> + </ul> + </li> + <li><code>rakudo-star</code> というPerl6のパッケージ環境では、 MoarVMがデフォルトでインストールされる</li> +</ul> + + + +</div> + +<div class='slide'> + <!-- _S9SLIDE_ --> +<h2 id="moarvm">MoarVM</h2> +<ul> + <li>C言語で記述されているPerl6専用の仮想機械</li> <li>レジスタマシン <ul> <li>型情報を持つレジスタに対しての演算として処理される</li> + <li>Rubyなどはスタックマシンとして実装されている</li> </ul> </li> <li>LuaJITなどを利用したJITコンパイルなども可能</li>