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author | Nozomi Teruya <e125769@ie.u-ryukyu.ac.jp> |
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date | Tue, 27 Oct 2015 15:06:14 +0900 |
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\documentclass[twocolumn,twoside,9.5pt]{jarticle} \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} \usepackage{picins} \usepackage{fancyhdr} %\pagestyle{fancy} \lhead{\parpic{\includegraphics[height=1zw,keepaspectratio,bb=0 0 251 246]{images/emblem-bitmap.pdf}}琉球大学主催 工学部情報工学科 中間発表予稿} \rhead{} \cfoot{} \setlength{\topmargin}{-1in \addtolength{\topmargin}{15mm}} \setlength{\headheight}{0mm} \setlength{\headsep}{5mm} \setlength{\oddsidemargin}{-1in \addtolength{\oddsidemargin}{11mm}} \setlength{\evensidemargin}{-1in \addtolength{\evensidemargin}{21mm}} \setlength{\textwidth}{181mm} \setlength{\textheight}{261mm} \setlength{\footskip}{0mm} \pagestyle{empty} \begin{document} \title{分散フレームワークAliceのPC画面配信システムへの応用} \author{125769C 氏名 {照屋}{のぞみ} 指導教員 : 河野真治} \date{} \maketitle \thispagestyle{fancy} \section{はじめに} 当研究室ではデータをData Segment、タスクをCode Segmentという単位で分割して記述する並列分散フレームワークAliceの開発を行っている。先行研究\cite{1}の水族館の例題等において、Alice が分散プログラムを記述する能力を有することは確認された。だが、実用的な分散プログラムを作成するためには、受け取ったデータをそのまま転送したい場合や圧縮されたデータ形式で通信を行いたい場合がある。 本研究では、 Alice上に実用的なアプリケーションである画面共有システムTreeVNCを構築する。構築するにあたり必要となった転送・圧縮などの機能を AliceのMeta Computation として実装する。そしてJavaで書かれたTreeVNCとの比較を行うことでMetaComputationの役割と有効性を示す。 \section{分散フレームワーク Alice の概要} AliceはデータをData Segment、(以下DS)タスクをとCode Segment(以下CS)という単位に分割してプログラミングを行う。 DSはAliceが内部にもつデータベースによって管理されている。DSに対応する一意のkeyが設定されており、そのkeyを用いてデータベースを操作する。 CSは実行に必要なDSが揃うと実行されるという性質を持ち、入力されたDSに応じた結果が出力される。 CSを実行するために必要な入力DSはInputDS、CSが計算を行った後に出力されるDSはOutput DSと呼ばれる。データの依存関係にないCSは並列実行が可能である。(図\ref{fig:CS}) 実際にはAliceはJavaで実装されている。 \begin{figure}[htbp] \begin{center} \includegraphics[width=70mm]{images/dsandcs2.pdf} \end{center} \caption{CodeSegmentの依存関係 } \label{fig:CS} \end{figure} \subsection*{[Data Segment]} Aliceはデータを分割して記述する。その分割されたデータをDSと呼ぶ。 Javaの実装ではMessagePackで特定のオブジェクトにマッピングされ、マッピングされたクラスを通してアクセスされる。CSの実行においてDSは占有されるため、Aliceではデータが他から変更され整合性がとれなくなることはない。 \subsection*{[Data Segment Manager]} DSは実際にはqueueに保存される。queueには対になるkeyが存在し、keyの数だけqueueが存在する。 このkeyを指定してDSの保存、取得を行う。queueの集合体はデータベースとして捉えられる。このデータベースをAliceではDS Manager(以下DSM)と呼ぶ。DSMにはLocal DSMとRemote DSMが存在する。Local DSMは各ノード固有のデータベースである。Remote DSMは他のノードのLocal DSMのproxyであり、接続しているノードの数だけ存在する。(図\ref{fig:RemoteDSM})Remote DSMに対して書き込むと対応するノードのLocal DSMに書き込まれる。 \begin{figure}[htbp] \begin{center} \includegraphics[width=70mm]{images/remote_datasegment.pdf} \end{center} \caption{Remote DSMは他のノードのLocal DSMのproxy } \label{fig:RemoteDSM} \end{figure} \subsection*{[ComputationとMeta Computation]} Aliceでは、計算の本質的な処理をComputatin、Computationとは直接関係ないが別のレベルでそれを支える処理をMeta Computationとして分けて考える。 Alice の Computationは、keyによりDSを待ち合わせ、DSが揃ったCSを並列に実行する処理と捉えられる。 それに対して、Alice の Meta Computation は、トポロジーの構成や切断・再接続の処理と言える。Aliceが動作するためにはトポロジーを決める必要がある。つまりトポロジーの構成はAliceのComputationを支えているComputationとみなすことができる。 プログラマーはCSを記述する際にトポロジーや切断、再接続という状況を予め想定した処理にする必要はない。プログラマーは目的の処理だけ記述する。そして、切断や再接続が起こった場合の処理を記述しMeta Computationで指定する。このようにプログラムすることで、通常処理と例外処理を分離することができるため、シンプルなプログラムを記述できる。 Aliceの機能を追加するということは Meta Computation を追加すると言い換えられる。 \section{AliceVNC} 当研究室では授業向け画面共有システムTreeVNC\cite{2}の開発を行っている。 授業でVNCを使う場合、1つのコンピュータに多人数が同時につながるため、性能が大幅に落ちてしまう。 この問題をノード同士を接続させ、木構造を構成することで負荷分散を行い解決したものがTreeVNCである。 Aliceが実用的なアプリケーションを記述する能力をもつことを確認するために、TreeVNCをAliceを用いて実装したAliceVNCの作成を行った。 \section{Alice の新機能} 実用的なアプリケーションである TreeVNC を Alice 上で実装することで、Alice に必要な機能を洗い出 した。 \subsection*{[flip機能]} Data Segment APIを用いると、Output DSが毎回新しく作成され、出力するデータのコピーが行われる。しかし、Input DSとして取得したデータをそのまま子ノードにOutput Data Segmentとして出力する場合、コピーを行なうのは無駄である。 そこで、Input DSとOutput DSにそのまま転送する機能をflip機能として実装することで、コピーのオーバーヘッドを減らした。TreeVNCでは親ノードから受け取った画面データをそのまま子ノードに配信するため、Meta Computationとしてflip機能が有用である。 \subsection*{[Data Segmentの表現の追加(圧縮機能)]} TreeVNCでは画面配信の際、データを圧縮してノード間通信を行っている。 そのため、AliceVNCにも圧縮されたデータ形式を扱える機能が必要だと考えた。 しかし、ただデータを圧縮する機構を追加すればいいわけではない。 AliceVNCでは、ノードは受け取った画面データを描画すると同時に、子ノードのRemote DS Managerに送信する。 ノードはDSを受信するとそれを一度解凍して画面を表示し、再圧縮して子ノードに送信する。 しかし、受け取ったデータを自分の子ノードに対して送信する際には、解凍する必要はない。 圧縮状態のまま子ノードに送信ができれば、解凍・再圧縮するオーバーヘッドを無くすことができる。 そこで、1つのData Segmentに対し複数の表現を持たせることで、必要に応じた形式でDSを扱うことを可能にした。 DSを扱うReceiveData.classに、次の3種類の表現を同時に持つことができる。 \begin{enumerate} \item 一般的なJavaのクラスオブジェクト \item MessagePack for Javaでシリアライズ化されたバイナリオブジェクト \item 2を圧縮したバイナリオブジェクト \end{enumerate} 1はLocalDSMにDSを保存する場合に用いる。また、圧縮せずにRemoteDSMにDSを保存する場合は2のMessagePack形式で送られる。そしてLocal, Remote に対しDSを圧縮して保存する場合は3を用いる。 さらに、圧縮状態を持つDSを扱うDSMとしてLocalとRemoteそれぞれにCompressed Data Segment Managerの追加した。Compressed DSMの内部では、DSが呼ばれた際にReceiveData.classが圧縮表現を持っていればそれを使用し、持っていなければその時点で圧縮表現を作って操作を行う。 これによりユーザは指定するDSMを変えるだけで、他の計算部分を変えずに圧縮表現を持つDSを扱うことができる。ノードは圧縮されたDSを受け取った後、そのまま子ノードにflipすれば圧縮状態のまま送信されるので、送信の際の再圧縮がなくなる。 しかし、データの表現に圧縮したbyteArrayを追加したため、Remoteから受け取ったbyteArrayのDSが圧縮されているのかそうでないのかを判断する必要がある。 そこで、Aliceの通信におけるヘッダにあたるCommandMessage.classにシリアライズ状態表すフラグと、圧縮状態を表すフラグを追加した。 これによってputされたDSMはフラグに応じた適切な形式でReceiveData.class内にDSを格納できる。 \section{今後の課題} AliceVNCとTreeVNCを比較することにより実装したMeta Computationの有効性を示す必要がある。 また、TreeVNCでは実装が困難であったNAT越えの機能を提供できると期待される。 \begin{thebibliography}{9} \bibitem{1} {Yu SUGIMOTO and Shinji KONO}: 分散フレームワークAlice上のMeta Computationと応用,琉球大学工学部情報工学科平成26年度学位論文(修士) (2014). \bibitem{2} {MIWA OSHIRO, and Shinji KONO}:授業やゼミ向け画面配信システムTreeVNCの拡張機能,琉球大学工学部情報工学科平成26年度学位論文(学士) (2014). \end{thebibliography} \end{document}