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view paper/chapter6.tex @ 16:d7cf4a51597f
parallel IO
author | Yuhi TOMARI <yuhi@cr.ie.u-ryukyu.ac.jp> |
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date | Tue, 10 Feb 2015 14:06:53 +0900 |
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\chapter{並列処理向けI/O} ファイル読み込みなどの I/O を含むプログラムは、読み込み時間が Task の処理時間と比較してオーバーヘッドになることが多い。 プログラムの並列化を行ったとしても、 I/O がボトルネックになってしまうと処理は高速にならない。 本項では Cerium に並列処理用の I/O の実装を行う。これにより I/O 部分の高速化を図る。 \section{mmap} Cerium ではファイルの読み込みを mmap により実装していた。 しかし、mmap や read によりファイルを読み込んでから処理を実行させると、 読み込んでいる間は他の CPU が動作せず、並列度が落ちてしまう。 そこで、 I/O 部分も並列に動作するよう実装した。 Read を並列に行うには、File Open ではなく mmap を使う方法がある。 mmap はすぐにファイルを読みに行くのではなく、まず仮想メモリ空間にファイルの中身を対応させる。 メモリ空間にアクセスが行われると、OS が対応したファイルを読み込む。 mmap で読み込んだファイルに Task1、Task2 がアクセスし、それぞれの処理を行う際の例を図:\ref{fig:mmap}に示す。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} \includegraphics[scale=0.7]{./images/mmap.pdf} \end{center} \caption{mmap の Model} \label{fig:mmap} \end{figure} Task1 が実行される時、仮想メモリ上 Open されたファイルの読み込みを行い、Task1 の処理を行う。 その後、同様に Task2 も読み込みを行ってから処理を行う。この Task1 と Task2 の間に待ちが入る。 ファイルの読み込みが起こると、アクセスした Thread/Process には wait がかかってしまう。 しかし mmap による Read は Task と並列に実行されるべきである mmap は逐次アクセスを仮定しているので、OS 内部で自動的にファイルの先読みを行う事も期待できる。 しかしそれは OS の実装に依存してしまう。 読み込みが並列に実行されない場合、 Task が読み込み待ちを起こしてしまう。 読み込みが OS 依存となるため、環境によって左右されやすく、汎用性を損なってしまう。 そこで、mmap を使わず、read を独立したスレッドで行い、読み込まれた部分に倒して並列に Task を起動する。 これを Blocked Read と呼ぶ。Blocked Read によるプログラミングは複雑になるが、高速化が期待できる。 \section{Blocked Read による I/O の並列化} Blocked Read を実装するに辺り、WordCount を例に考える。 Blocked Read はファイル読み込み用の Task(以下、ReadTask) と 読み込んだファイルに対して処理を行う Task(今回はWordCount) を別々に生成する。 ReadTask はファイル全体を一度に全て読み込むのではなく、ある程度の大きさで分割してから読み込みを行う。 分割後の読み込みが終わると、読み込んだ範囲に対して WordCount を行う。 BlockedRead による WordCount を行う場合、図:\ref{fig:blockedread}のようになる。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} \includegraphics[scale=0.5]{./images/blockedread.pdf} \end{center} \caption{BlockedRead による WordCount} \label{fig:blockedread} \end{figure} Task を一定数まとめた単位で生成し、起動を行っている。この単位を Task Block と定義する。 TaskBlock が BlockedRead を追い越して実行してしまうと、まだ読み込まれてない領域に対して処理を行ってしまう。 その問題を解決するため、依存関係を設定する。 BlockedReadによる読み込みが終わってから TaskBlock が起動されるよう、 Cerium の API である wait\_for により依存関係を設定する。 以上を踏まえ、BlockedRead の実装を行った。 BlockedRead Task の生成はソースコード:\ref{src:blockedread_create}のように行う。 \begin{lstlisting}[frame=lrbt,label=src:blockedread_create,caption=BlockedRead を行う Task の生成,numbers=left] HTaskPtr readTask = manager->create_task(READ_TASK) readTask->set_cpu(DEVICE_TYPE); readTask->set_outData(0, file_map + task_num * division_size, task_blocks * division_size); readTask->set_param(0, fd); readTask->set_param(1, task_num * division_size); runTask(); readTask->set_param(2, task_num * division_size) readTask->spawn(); \end{lstlisting} \begin{itemize} \item 3行目、set\_outData(0): ファイルを読み込んだ際の格納場所を設定 \item 4行目、set\_param(0): 読み込むファイルディスクリプタを設定 \item 5行目、set\_param(1): BlockedRead Task で読み込むファイルの範囲の先頭のポジションを設定 \item 7行目、set\_param(2): BlockedRead Task で読み込むファイルの範囲の末尾のポジションを設定 \end{itemize} Cerium において、 WordCount で必要な Task を全て生成してしまうと、 その Task のデータ構造自体がメモリを消費してしまう。 そこである程度の量の Task を起動し、それが終了してから(正確には終了する前に)次の Task を生成するようになっている。 それらの機能を持った関数が6行目にあたる run\_tasks である。 run\_tasks に wait\_for による ReadTask との待ち合わせの処理を入れれば良い。 BlockedRead の Task をいかに示す。 \begin{lstlisting}[frame=lrbt,label=src:blockedread_task,caption=BlockedRead Task,numbers=left] static int read_task(SchedTask *s, void *rbuf, void *wbuf) { long fd = (long)s->get_param(0); long start = (long)s->get_param(1); long end = (long)s->get_param(2); char txt = (char*)s->get_output(wbuf, 0); long size = end - start; pread(fd, txt, size, start); return 0; } \end{lstlisting} Cerium の API により、生成部分で設定したパラメタをそれぞれ受け取る。 ファイル読み込みの先頭・末尾のポジションが渡されているので、ファイルから読み込むサイズは求められる。 受け取ったパラメタをそれぞれ pread 関数に渡すことで Blocked Read を実現している。 \newpage \section{I/O 専用 Thread の実装} Cerium Task Manager では、各種 Task にデバイスを設定することができる。 SPE\_ANY 設定を使用すると、 Task Manager で CPU の割り振りを自動的に行う。 BlockedRead は連続で読み込まれなければならないが、 SPE\_ANY 設定で実行すると BlockedRead 間に別の Task を割り込んでしまう場合がある。 (図:\ref{fig:spe_any_blockedread}) \begin{figure}[htpb] \begin{center} \includegraphics[scale=0.7]{./images/speblockedread.pdf} \end{center} \caption{BlockedRead と Task を同じ thread で動かした場合} \label{fig:spe_any_blockedread} \end{figure} そこで I/O 専用の Thread である IO\_0 の追加を行った。 IO\_0 は SPE\_ANY とは別 Thread の Scheduler で動くので、SPE\_ANY で動いている Task に割り込まれることはない。 しかし、読み込みの終了を通知し、次の read を行う時に他の Task がスレッドレベルで割り込んでしまう事がある。 pthread\_getschedparam() で IO\_0 の priority の設定を行う必要がある(図:\ref{fig:iothread_blockedread})。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} \includegraphics[scale=0.7]{./images/iothread.pdf} \end{center} \caption{IO Thread による BlockedRead} \label{fig:iothread__blockedread} \end{figure} IO\_0 で実行される Task は BlockedRead のみなので、 IO\_0 のpriority を高く設定することで Blocked Read は連続で実行される。 また、以上の事から I/O を含む処理では、 I/O を行う Thread の priority を高くする必要があるという知見を得られた。