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diff c3.tex @ 16:a3c5125aea03
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author | Masataka Kohagura <kohagura@cr.ie.u-ryukyu.ac.jp> |
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date | Wed, 20 Jan 2016 17:02:45 +0900 |
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--- a/c3.tex Wed Jan 20 16:16:46 2016 +0900 +++ b/c3.tex Wed Jan 20 17:02:45 2016 +0900 @@ -1,86 +1,86 @@ -\chapter{正規表現の設計と実装} -\section{正規表現構文木の生成} -\section{Transition List の生成} -\section{Subset Construction} -\section{Cerium 上での実装} +\chapter{並列処理向け I/O} +ファイル読み込みなどの I/O を含むプログラムは、読み込み時間が Task の処理時間と比較してオーバーヘッドになることが多い。 +計算処理の並列化を図ったとしても I/O がボトルネックになってしまい処理全体が高速にならない。 +本項では Cerium に実装した並列処理用 I/O を行ない、I/O 部分の高速化を図った。 + +Cerium の例題ではファイル読み込みを mmap にて実装していた。 +しかし、mmap だとファイルを読み込んでから Task を実行するので、読み込んでいる間は他の CPU が動作せず並列度が落ちる。 -\begin{figure}[htpb] - \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/CharClassMergePattern.pdf} - \end{center} - \caption{2つの Character Class を merge するときの全パターン} - \label{fig:CharClassMergePattern} -\end{figure} +mmap は function call 後にすぐにファイルを読みに行くのではなく、仮想メモリ領域にファイルの中身を対応させる。 +その後メモリ空間にアクセスされたときに、OS が対応したファイルを読み込む。 +また、読み込む方法が OS 依存となってしまうため環境に左右されやすく、プログラムの書き手が読み込みの制御をすることが難しい。 + +図\ref{fig:mmap}は mmap で読み込んだファイルに対して Task1 、 Task2 がアクセスしてそれぞれの処理を行うときのモデルである。 + +Task1 が実行されると仮想メモリ上に対応したファイルが読み込まれ、読み込み後 Task1 の処理が行われる。 +その後 Task2 も Task1 と同様の処理が行われるが、これら 2 つの Task の間に待ちが入る。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/ccinsert1.pdf} + \includegraphics[scale=0.7]{images/cerium/mmap.pdf} \end{center} - \caption{Character Class を二分木で表示} - \label{fig:ccinsert1} + \caption{mmap Model} + \label{fig:mmap} \end{figure} -\begin{figure}[htpb] - \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/ccinsert2.pdf} - \end{center} - \caption{ある Character Class の二分木に対して、新しい Character Class を insert} - \label{fig:ccinsert2} -\end{figure} +mmap を使わず、読み込みを独立した Thread で行ない、ファイルを一度に全て読み込むのではなくある程度の大きさ(Block)分読み込み、読み込まれた部分に対して並列に Task を起動する。 +これを Blocked Read と呼び、高速化を図った。 -\begin{figure}[htpb] - \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/ccinsertresult.pdf} - \end{center} - \caption{insert 後の Character Class の二分木} - \label{fig:ccinsertresult} -\end{figure} +Blocked Read を実装するにあたり、WordCount を例題に挙げる。 +ファイルを読み込む Task (以下、ReadTask) と、読み込んだファイルに対して計算を行う Task (以下、WordCount) を別々に生成する。ReadTask は一度にファイル全体を読み込むのではなく、ある程度の大きさで分割してから読み込みを行う。分割して読み込んだ範囲に対して WordCount を行う。 + +WordCount を Blocked Read で読み込み処理をしたとき以下の図\ref{fig:BlockedRead}の様になる。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/cfab.pdf} + \includegraphics[scale=0.5]{./images/cerium/blockedread.pdf} \end{center} - \caption{cfab} - \label{fig:cfab} + \caption{BlockedRead による WordCount} + \label{fig:BlockedRead} \end{figure} -\begin{figure}[htpb] - \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/cfdg.pdf} - \end{center} - \caption{cfdg} - \label{fig:cfdg} -\end{figure} +Task を一定の単位でまとめた Task Block ごとに生成して WordCount を行なっている。 +Task Block で計算される領域が Blocked Read で読み込む領域を追い越して実行してしまうと、まだ読み込まれていない領域に対して計算されてしまう。 +その問題を解決するために依存関係を適切に設定する必要がある。 +Blocked Read による読み込みが終わってから TaskBlock が起動されるようにするため、Cerium の API である wait\_for にて依存関係を設定する。 + +また、ReadTask は連続で処理される必要がある。 +なぜならば、ReadTask でファイルを読み込む前提で WordCount がその領域に対して計算を行うので、ReadTask の処理が遅くなってしまうだけでオーバーヘッドとなってしまう。\ref{fig:BlockedReadModel} \begin{figure}[htpb] \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/cfdgab.pdf} + \includegraphics[scale=0.5]{./images/cerium/blockedreadimage.pdf} \end{center} - \caption{cfdgab} - \label{fig:cfdgab} + \caption{BlockedRead Model} + \label{fig:BlockedReadModel} \end{figure} +\newpage +Blocked Read を実装することにより、読み込み部分と処理部分の並列化を行なった。Blocked Read は連続で読み込まれる必要があるため、さらに I/O 専用 thread を実装した。 + +Cerium Task Manager では、それぞれの Task に対してデバイスを設定することができる。 +SPE\_ANY 設定をすると、Task Manager が CPU の割り振りを自動的に行う。 +Blocked Read は連続で読み込まれなければならないが、SPE\_ANY で設定すると Blocked Read 間に別の Task が割り込まれる恐れがある。(図\ref{fig:spe_any_blockedread}) + \begin{figure}[htpb] \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/efgi.pdf} + \includegraphics[scale=0.7]{./images/cerium/speblockedread.pdf} \end{center} - \caption{efgi} - \label{fig:efgi} + \caption{BlockedRead と Task を同じ thread で動かした場合} + \label{fig:spe_any_blockedread} \end{figure} +Task が Blocked Read 間に割り込まれないようにするため、I/O 専用 thread である iO\_0 の設定を追加した。 + +IO\_0 は SPE\_ANY とは別 thread の scheduler で動作するので、SPE\_ANY で動作している Task に割り込むことはない。 +しかし、読み込みの終了を通知し、次の read を行う時に他の Task がスレッドレベルで割り込んでしまう事がある。 +pthread\_getschedparam() で IO\_0 の priority の設定を行う必要がある(図:\ref{fig:iothread_blockedread})。 \begin{figure}[htpb] \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/dfa.pdf} + \includegraphics[scale=0.7]{./images/cerium/iothread.pdf} \end{center} - \caption{dfa} - \label{fig:dfa} + \caption{IO Thread による BlockedRead} + \label{fig:iothread_blockedread} \end{figure} -\begin{figure}[htpb] - \begin{center} - \includegraphics[scale=0.2]{images/implementation/nfa.pdf} - \end{center} - \caption{nfa} - \label{fig:nfa} -\end{figure} - +IO\_0 で実行される Task は Blocked Read のみで、さらに IO\_0 の priority を高く設定することにより Blocked Read が他の Task に割り込まれることなく連続に実行される。