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author ichikitakahiro <e165713@ie.u-ryukyu.ac.jp>
date Wed, 16 Feb 2022 01:12:38 +0900
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title: GearsOSの分散ファイルシステムの設計
author: Takahiro Ikki, Shinji Kono
profile: 琉球大学理工学研究科情報工学専攻
lang: Japanese
code-engine: coderay



## 継続を導入したGearsOS
- 継続を導入した、信頼性の保証を目指したOS開発プロジェクトである
- 関数遷移を用いず、**CodeGear**と**DataGear**と言う単位で記述を行う
  - 複数のCodeGearをgoto(jump命令)で遷移することで処理が実行される  
- OS自体の検証はプログラムが膨大な量となるため、テストコードを用いるのは難しい
- GearsOSではメタレベルの処理からユーザープログラムの検証をする構成となる
  - GearsOSはノーマルレベルとメタレベルを分けて記述できる
  - メタレベルな処理を検証用のものに切り替えることで検証を行う
  - 信頼性の検証には定理支援証明系やモデル検査を用いる

## GearsOSのファイルシステム開発
- GearsOSファイルシステムの開発にあたり要件定義を行った
- ファイルシステムも同様にGear単位で操作を行う
- 従来ではアプリケーションが持つ機能の一部を取り入れたい
  - Transaction
    - データ操作の整合性保護が施された処理
  - バックアップ
- 分散フレームワークChristieの仕組みを用いたい

## 分散フレームワークChristie
- 当研究室が開発する、Javaで書かれた分散フレームワークである
- GearsOSと似たGearと言うプログラミング概念を持つ
- ノード間の通信はDataGearの送り合いで構成される
  - Threadは任意のDataGearが揃ったら実行される
- 通信されるデータを意識しながら分散処理の記述が行える
- これらの構成は自律分散を目指した設計となっている

## Christie likeな通信の分散ファイルシステムの提案
- Christieの仕組みを用いた分散ファイルシステムを設計/検証したい
  - ファイルデータとなるDataGearを追いながらプロセスが記述できる
  - データのみの送受信による通信でネットワークの見通しを確保する
  - 自律分散なファイルシステムを目指す
- APIやプロセスの正当性は将来的に定理支援証明系agdaで検証される


## GearsOSが持つOSレベルなTransactionの実装検証
- GearsOSはAPIレベルでTransactionな記述が行える
  - 従来のアプリケーションでは、ユーザーレベルで実装される
- API自体のTransactionが保証されていれば、アプリケーションの信頼性保証が容易になる
- GearsOSのAPIレベルで実装されるTransactionの実装と検証を行う

## ポスター発表
- GearsOSのChristie likeなファイルシステムの設計と実装
  - ファイル構造
    - QueueとTreeを用いる
  - ファイルAPI
    - Put/Take/Peek
  - 複数streamを用いたファイル通信
  - WordCount例題
- まとめと課題

## この先保留

## CodeGearとDataGear
- CodeGear
  - 実行Codeの単位
  - 入力/出力のDataGearを持つ
  - goto文(jump命令)で遷移する
  - 割り込みが行われない(atomicity)
- DataGear
  - 変数にあたり、構造体の型を持つ

## CodeGearとDataGearの関係
- InputDataGearを受け取って、CodeGearが処理し、OutputDataGearを出力する
- OutputDataGearは次のCodeGearのInputDataGearとなる
- CodeGear/DataGearはContextというオブジェクトで管理される
<div style="text-align: center;">
   <img src="images/cg-dg.pdf" alt=cgdgの関係図 width="600">
</div>

## 研究概要
- GearsOSの分散ファイルシステムの設計・実装を行った
  - ファイル構造の設計
  - ファイルAPIの設計
  - 複数streamを用いたファイル通信とデバイス保存
- 最低限のデータを送信することにより通信が行える
- 分散フレームワークChristieの仕組みを利用している



## 本研究の目的
- 分散フレームワークChristieのファイルシステムへの応用
  - プロトコルを用いず、最低限のデータの送受信で通信を構成する
  - 複雑な分散通信の見通しの改善
  - 自律分散通信を目指した設計
- OSレベルなTransactionによるファイル通信記述の検証
  - GearsOSではAPIをTransactionとして構成できる
  - 従来のファイルシステムはアプリケーションレベルで実装される

## GearsOS
- OSの信頼性の向上と拡張性を目指している
- CodeGear/DataGearという単位で記述される
- ノーマルレベルとメタレベルを分離して記述できる
  - メタレベル処理を切り替えることで、信頼性検証やデバッグを行う
  - 将来的に本研究の成果物も信頼性の検証を行う

## CodeGearとDataGear
- CodeGear
  - 実行Codeの単位
  - 入力/出力のDataGearを持つ
  - goto文(jump命令)で遷移する
- DataGear
  - 変数にあたり、構造体の型を持つ

## CodeGearとDataGearの関係
- InputDataGearを受け取って、CodeGearが処理し、OutputDataGearを出力する
- OutputDataGearは次のCodeGearのInputDataGearとなる
- CodeGear/DataGearはContextというオブジェクトで管理される
<div style="text-align: center;">
   <img src="images/cg-dg.pdf" alt=cgdgの関係図 width="600">
</div>


## 分散フレームワークChristie
- Javaで記述された分散フレームワーク
- GearsOSと似たGearという概念を持つ
- CodeGearManagerと言うノードがCodeGear/DataGearを管理する
  - DataGearはDataGearManagerと言うデータプールに記録される
- DataGearをノード間で送り合うことで通信を行う

## Christieの通信
- LocalDGM
  - そのノードに対応するデータプール
  - CodeGearはLocalDGMからDataGearを参照する
- RemoteDGM
  - 他のノードのLocalDGMに対応するproxy
  - RemoteDGMに書き込むと対応したLocalDGMに送信される
- DataGearManagerの仕組みをGearsOSのファイルに利用する

## RemoteDGMによる通信
- 任意の相手のRemoteDGMを作成することで接続が形成される
- RemoteDGMに書き込むと相手のLocalDGMに書き込みが行われる
<div style="text-align: center;">
 <img src="images/Remote_DataGearManager.pdf" alt="RemoteDGMの関係図" width="550">
</div>


## ポスター発表概要
- Christieの仕組みを用いたファイルシステム設計/実装の解説
  - QueueとTreeを用いたファイル構造
  - ファイルAPI
    - Put/Take/Peek
  - 複数socketを用いたファイル通信の構成
  - WordCount例題
- まとめと課題




## まとめ
- GearsOSの通信を含めたファイルシステムの設計・開発を行った
  - DataGear単位によるファイル操作
  - 複数のstreamを用いた通信の設計
    - 現時点では単一streamによる通信のみ開発済み
- 課題
    - WordCount例題の再現
    - API/プロセスの信頼性や性能の調査

## GearsOSのファイルシステム
- ファイルデータの最小単位はDataGearとなる
- ファイルデータとなるDataGearはQueueに格納される
- APIはPut/Take/Peekの三つで操作する
<div style="text-align: center;">
   <img src="images/QueueElement.pdf" alt=Queue width="800">
</div>

## GearsOSにおけるファイル
- ファイルは複数のQueueを持つ赤黒木である
- Queueはkeyでアクセスされる
- Queueはstreamの役割を持つ

<div style="text-align: center;">
   <img src="images/newGearsFile.pdf" alt=Queue width="400">
</div>

## ファイルによる通信の構成
- GearsOSのファイルは通信も担当する
- 通信先のファイルのproxyを生成し通信する
- proxyに対してデータを書き込むことで通信が行われる
- WordCount例題を通して設計を行った  
<div style="text-align: center;">
  <img src="images/slideGearsWC.pdf" alt=Queue width="500">
</div>

## GearsOSの分散ファイルシステム
- GearsOSのファイルは通信の役割も持つ
- 遠隔上のファイルに対応するproxyを作成して通信を行う
  - 対象ファイルとproxyはsocketで接続される
  - proxyの操作はLocalなファイルと相違なく行える
- 記録デバイスへの保存も同様な仕組みで行う

## GearsFSの展望
- ノードの配線を担当するTopologyManagerの実装
  - 参加表明したノードを任意の形のTopologyへ配線する
- 将来的にAPIと通信プロセスは定理支援証明系Agdaで検証を行う
- 複数streamにより制御を行う分散ファイル通信の検証
- GearsOSによるOSレベルTransactionの信頼性/実用性調査
  - 従来ではアプリケーションレベルにより実装される