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1 \section{Gears Agda における木構造の設計}
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3 本研究では,Gears Agda にて Red Black Tree の検証を行うにあたり,
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4 Agda が変数に対して再代入を許していないことが問題になってくる.
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6 そのため下図 \ref{rbt-stack} のように,木構造の root から leaf に 辿る際に見ているnodeから
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7 下の tree をそのまま stack に持つようにする.
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9 そして insert や delete を行った後に stack から tree を取り出し,
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10 元の木構造を再構築 していきながら rootへ戻る.
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12 \begin{figure}[H]
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13 \begin{center}
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14 \includegraphics[height=3.5cm]{fig/rbt-stack.pdf}
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15 \end{center}
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16 \caption{tree を stack して目的の node まで辿った場合の例}
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17 \label{rbt-stack}
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18 \end{figure}
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21 このようにして Gears Agda にて Red Black Tree を実装していく.
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23 \section{Gears Agda における Binary Tree の実装}
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25 Red Black Tree を実装しそれを検証する前段階として,
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26 実装が簡単な Binary Tree の実装から行う.
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28 まず Binary Tree と 遷移させる Data Gear となる Env の定義は Code \ref{bt_env} のようになる.
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30 \lstinputlisting[label=bt_env, caption=Binary Tree の Data Gear] {src/bt_impl/bt_env.agda.replaced}
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32 bt は,木での順序としての意味を持つ key とその中身 value はどのような型でも入れられるように
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33 「A : Set n」となっている.
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34 そして left, right には bt A を持つようにし,木構造を構築している.
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36 Env では, find, insert, delete の対象となる値を保存し, Code Gear に与えられるようにするために
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37 varn, varv を持っている.
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38 加えて変更を加える bt を持つ vart と,章Nで前述した木構造を持っておくための List である
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39 varl を Env に設定している.
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41 7章で述べた Gears Agda での木構造を保ったまま root から目的のnodeまで辿る Code Gear が
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42 Code \ref{bt_find_impl} になる.
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44 \lstinputlisting[label=bt_find_impl, caption=root から目的のnodeまで辿る Code Gear] {src/bt_impl/find.agda.replaced}
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46 まず,関数の実装が始まってすぐに Env の vartを指定したものと引数をそのまま find-c の関数に遷移している.
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47 ここで展開しているのは Env の vart で,そのまま Env から展開した vart をパターンマッチすると
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48 Agda が追えなくなってしまい,\{-$\#$ TERMINATING $\#$-\} を使用することになってしまう.
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50 そのため関数を新たに定義し,展開したものを受け取り,パターンマッチすることで
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51 \{-$\#$ TERMINATING $\#$-\} を使用せずに loopを定義できるようになる
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53 木を stack に入れるのは単純で,操作の対象の key となる varn と
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54 node のkeyを比較を行う.
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55 そこからは本来の木構造と同じで,操作の対象の key が小さいなら
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56 left の tree を次の node として遷移する.
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57 大きいなら right の tree を次の node として遷移していく.
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59 操作の対象となる node に辿り着き,操作を行った後,
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60 Stack に持っている tree から再構築を行う.
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62 そのコードが Code \ref{bt_replace_impl} となる
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64 \lstinputlisting[label=bt_replace_impl, caption=Stack から tree を再構築する Code Gear] {src/bt_impl/replace.agda.replaced}
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66 これも Code \ref{bt_find_impl} と同じように構成されており,
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67 varn と node の key を比較し, vart を List から持ってきた node の どこに加えるかを決めるようになっている.
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69 以上の流れを繋げることで, Binary Tree の insert と find を実装できた.
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70 delete は insert の値を消すようにすると実装ができる.
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72 \section{Gears Agda における Binary Tree の検証}
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74 検証も前述した While Loop の 検証と同じようにしていく.
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75 しかし, Binary Tree の不変条件は2つ以上あるため,これを関数定義の際に全て書くと
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76 煩雑になってしまうため,事前に記述して関数化しておく.
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77 それが Code \ref{bt_invariant} になる.
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79 \lstinputlisting[label=bt_invariant, caption=Binary Tree の 不変条件] {src/bt_verif/invariant.agda.replaced}
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81 この不変条件は, treeInvariant が tree の 左にある node の key が小さく,
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82 右にある node の方が大きいことを条件としている.
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84 stackInvariant は Stack にある tree が,次に取り出す Tree の一部であることを
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85 条件としている.
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87 これを先ほど実装した Code Gear に対して加えることで検証していく.
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88 先ほど実装した Code \ref{bt_find_impl} に対して加えると Code ref のようになる.
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91 \lstinputlisting[label=bt_invariant, caption=Binary Tree の 不変条件] {src/bt_verif/find.agda.replaced}
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93 現時点では条件を満たしていることの証明まで行っていないが
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94 コード中の {!!} に記述を行い,前述した While Loop と同じように中身を記述することで検証を行える.
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96 \section{まとめと今後の課題}
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97 本論文では,Gears Agda にて Hoare Logic を用いて While Loop の検証を行えた.
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98 これはプログラムが Code Gear という単位で分かれているため,
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99 一つ一つの Code Gear に対して検証を行いながら実装を行っていくことも可能である.
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100 そのため,従来の検証手法よりもスコープが小さく,簡単に検証と実装を行えると考える.
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102 今後の課題として,Gears Agda による Red Black Tree の実装と検証を行う必要がある.
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103 While Loop と同じように検証を行えると考えているが,研究目的である
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104 「ループが存在し,かつ再代入がプログラムに含まれるデータ構造」を
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105 Gaers Agda を実装することが難しく,それをさらに検証しなければならない.
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